2025/05/30

マーケティング

【マイナビバイト】座ってイイッスPROJECT

この記事の目次

    はじめに

    座ってイイッスPROJECTは接客アルバイトの現場にイスを置くという選択肢を用意し、働く人の気持ちを少しでもポジティブにできたらいいな、少しでも身体が楽なったらいいなというプロジェクトです。

    働きたくても働けなかった人が、新しい職場と出会えるようにすることも、この取り組みの重要な役割です。

    社会に向けたメッセージ発信にとどまらず、実際にレジ対応用の椅子を開発し、企業様に導入いただく取り組みも進めています。

    座ってイイッス特設サイト:https://baito.mynavi.jp/contents/chair/

    ~プロジェクトロゴで:イイッス!っと気楽にとらえていってほしいなと思います~

    プロジェクトの全体像

    概要

    目的

    ・主に接客バイト(レジ・販売業務)に座って働ける環境を広げる
     →働き手の精神的・身体的な負担を減らす
     →働き手のバイト選択肢を増やす

    やっていること

    ・「立ちっぱなし接客が当たり前」という文化に疑問を投げかけ、社会にメッセージを発信
    ・同時に、実際に使いやすいレジ対応用のイスを開発して、求人掲載企業に導入を促している

    →発信+プロダクト+導入支援をセットで行っています

    掲載企業側のメリット

    ・企業イメージの向上
    ・求人応募数の増加
    ・バイトの定着率アップ(働きやすい環境づくり)

    →マイナビ・クライアントさま・世間の3方ヨシの企画になっています

    ゴールイメージ

    ・イス導入が増え、マイナビバイト・マイナビミドルシニアに座って働ける求人を増やすことで、従業員が座ってても「あたりまえ」にし、働く人の選択肢を増やす

    スケジュール

    2024年3月末から、イス導入をしていただいております。

    主なトピックス
    2023年8月企画始動!
    企業さまへのお声がけやイスの開発
    2024年3月末特設ページリリース&6社での試験運用をスタート
    2024年4月・コンセプト動画の公開
    ・【バイト立ちっぱなし問題の世間への問いかけ】第1弾リリース
    https://www.mynavi.jp/news/2024/04/post_41387.html
    2024年6月・イスの有償での販売を開始。
    ・発足後3カ月で、250社以上のお問い合わせ
    2024年7月・【試験結果の公開】第2弾リリース
    https://www.mynavi.jp/news/2024/07/post_44492.html
    2024年10月導入数1,000脚突破
    2025年1月導入企業数200社達成!

    チーム体制

    主に以下のメンバーが関わっています。

    ・プロモーション部(書き手)
    ・メディアや広告代理店などの外部パートナー
    →新しい価値観・企画の世間への浸透を目指しています。

    ・営業部
    ・求人掲載企業さま
    →実際にイス導入をしてくださいました。

    ・SANKEIさま(イス製造会社)
    →企画にぴったりなマイナビバイトチェアの製造開発をしてくださいました。

    広告内容

    ❶ プレスリリースやメディアとのタイアップ

    https://www.mynavi.jp/news/2024/04/post_41387.html

    従業員さんが座ることについて、店舗:「お客さんのため」vs 客:「どっちでもいい」ズレと、解決策としての座ってイイッスPROJECTの告知を行いました。
    各種メディアに取り上げていただき、プロジェクトの認知度をあげることができました。

    ❷ SNSでの発信

    主に公式Xにて、ギフトキャンペーンとあわせて情報発信を行い、プロジェクトの認知拡大と、職場環境に関する会話を生み出すことを目指しました。

    ❸ 動画クリエイティブの制作

    「座るのは良くない」と考える父親と、「別にいいよね」と受け止める娘とのやりとりを描き、日常にありそうなリアルな会話を意識しました。
    座って働くことへの気づきを促すコミュニケーションを目指しています。

    YouTubeやテレビでも放映し、まずは「座ってもいいよね」の価値観の啓蒙をはかりました。

    ❹ 店舗向けのちらしやステッカー

    イス導入店舗向けに「従業員の働きやすさ向上のため」・「マイナビが実施している旨」を記載したちらしを任意で貼っていただいております。

    こだわったポイント

    他部門・クライアント連携

    ● 社内・他部門との連携

    今回の取り組みは、当社にとっても初めての枠組みだったため、社内での役割設定には苦労しました。
    実施時期やイスの開発スケジュール、広告内容を具体的に決めたいたこと(+社会的な意義や仕事としてのやりがい)を示すことで、周囲もネガティブなポイントよりも「実際にリリースするには?」という点に目が向いた点が良かったと感じています。

    ●クライアント企業さまとの連携

    最初に動いてくださった企業さまには、心から感謝しています。
    いくつかの企業さまにお声がけを行った中で、どの企業さまも「従業員の働きやすさを大切にしたい」というお気持ちは強く持っていらっしゃるなと非常に感じました。
    一方で、特にアルバイト採用担当者さまだけでは最終決定が難しく、広報部や法務部門との調整を必要とするケースも多くありました。
    最終的にプロジェクトにご参加いただいた企業さまには、社内調整をはじめ多くのご協力をいただき、改めて感謝申し上げます。

    SNSなどでは、座らせない企業に対するネガティブな意見も散見されますが、実際には「イスを置く」という行動一つとっても、企業イメージや顧客対応の姿勢など、さまざまな側面に関わる繊細な判断が求められることを実感しました。

    そのため私たちは、企業さまが行動に移しやすいよう、専用イスの製作を起点に、導入によるメリット(求人応募数の増加、定着率向上、企業イメージの向上)を具体的にお伝えしました。

    また、企業さまに過度なリスクが及ばないよう、プロジェクト体であることで【マイナビ主体であること・他企業も参加していること】そういった枠組みにした点は良かったと思っております。
    店舗向けに啓発用のチラシやステッカーを作成し、お客様にも本プロジェクトの意図を丁寧に伝える取り組みを進めています。

    椅子

    実際に使用する椅子については、座ったままでも従業員の方が不自由なく業務を行えるよう、デザイン設計にこだわりました。
    国内のパイプ椅子メーカー各社にお声がけを行い、その中で、もともと同様のチェア製作を検討されていたSANKEI様と共同開発を進めることとなりました。

    現在、1脚あたり18,000円(税抜・送料別)にて販売しております。

    今回開発した椅子には、以下の特徴があります。
    ❶ コンパクトな設計
    ❷ スタッキング(重ねて収納)可能
    ❸ 高さ調整機能付き

    日本のレジスペースは限られているため、設置のしやすさを重視しました。
    また、身長に合わせて高さを調整できるため、従業員の方それぞれに合った使い方が可能です。

    一番は「座っている感」が出すぎない、自然な姿勢を保てるデザインにもこだわりました。
    これはお客様に与える印象だけでなく、座る側の従業員の方にとっても、違和感なく業務に入っていただくために重要なポイントです。
    「まずは」気軽に導入できることを大切に、細部まで設計を工夫しました。

    ▽完成品

    PR

    プロモーションチームとして一番こだわったのはPRの設計です。

    このプロジェクトでは、どのように社会に議論を起こし、プロジェクトの意義を多くの方に共感いただけるかを大切に考えました。

    皆さんが感覚的に感じていた:
    ●「長時間立ちっぱなしのアルバイトが多い」という課題
    ● お客さん「実はあまり気にしていない」/お店「お客様の目が気になる」というギャップ

    これらを可視化し、世間への問いかけと、その解決策としての座ってイイッスPROJECTの提案を自然に伝えられるよう、調査設計にも工夫を加えました。

    加えて、店舗側に「立たせる明確な理由がない場合も多いのではないか」という仮説のもと、選択肢を広く設定した調査を行った結果、「きっかけがない」「他店舗が変えないから」「なんとなく」など、受動的な理由が全体の約45%を占めること点も明示することができました。

    この結果から、「明確なきっかけさえあれば、変化は起こせるかもしれない」という期待も見えてきています。

    →調査詳細:https://www.mynavi.jp/news/2024/04/post_41387.html

    成果・反響

    導入企業数

    ~2025年4月末時点
    合計257社、2,556脚を導入いただいております。

    マイナビバイトチェアの導入+求人募集により、求人への応募数増加にもつながっている事例も出てきています。

    また、企業さまからのお問い合わせも約500件近く寄せられ、従業員の働き方をより良くしたいという想いを、多くの企業さまが持たれていることを改めて実感することができました。

    広告賞の受賞

    2024 64th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS

    あらゆる領域におけるクリエイティブを対象とした国内最大級のアワード「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で全9部門・応募総数2,323作品のうち、PR部門における最高賞<総務大臣賞/ACCグランプリ>を受賞しました!

    PR部門<総務大臣賞/ACCグランプリ>
    デザイン部門における<ACCゴールド>
    ブランド・コミュニケーション部門におけるBカテゴリー<ACCブロンズ>
    3部門で受賞しました!

    PRアワードグランプリ2024

    優れたPR事例を選考・顕彰することで、PRの普及と発展に寄与することを目的に公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会が毎年実施しているアワードです。

    こちらも最高賞であるグランプリ受賞しました!

    第17回日本マーケティング大賞

    準グランプリをいただきました!

    企業・自治体・団体等の組織における新しいマーケティングやコミュニケーションの手法、もしくはビジネスモデルの開発を積極的に促すことで、消費者の生活の向上と経済・社会の活性化に資する活動を奨励し、マーケティングのプレステージを高めることを目的として2007年に発表、第1回は2009年より実施されました。

    本プロジェクトは複数の賞を受賞することができ、社会的にこの取り組みや働き方改善に関わる施策が求められているのだと実感しました。

    世間の声

    SNSでのお声を拝見しますと、概ねポジティブなものかと思っております。
    また、座ってイイッス特設ページにてご意見ボックスを設置しており、現状1000件以上のこのプロジェクトに対するご意見や、その他ご自身が抱えている職場に関するお悩みをお伺いしております。

    https://www.mynavi.jp/news/2024/07/post_44492.html

    • 従業員が無理をせずに働ける環境をつくれる会社や店舗はとてもイメージがいいです!
    • 座っている所をみられたら安心できます。座れる事で足の疲れを少しでも和らげられているんだなと思います。
    • 座っていることによって気持ちの余裕が出て、素敵な接客をしてもらえたら嬉しい。
    • 私は足が悪いので、諦めていた職種にも挑戦出来そうですので是非活動を広めて欲しいです。
    • 最近は働く高齢者の方が増えてきているので高齢者が働きやすい環境をつくることで景気が良くなるのではないかと思います。
    • お仕事の幅が広がりそう。 早く導入してほしいです。
    • 日本全国で接客業も座れるのが当たり前の世の中になると立ち仕事が辛く選択肢として入れなかった人にも働く場の選択肢が増えるし、今立ち仕事している人にも体力的な余裕や心の余裕が出来ると思います。

    職場のお悩みについて

    • 接客業の本名の名札をやめてほしい
    • どこの企業も副業を認めて欲しい、というか制限をかけることは違反となるくらいになって欲しい
    • 残業をするかしないかは任意にして欲しい
    • 強制ジョブローテーションの廃止
    • レジの仕事中水分補給ができない

    従業員さまの声

    概ねポジティブなお声をいただいておりますが、
    直接言われないけどお客さんがなんで座っているの?という目で見ている気がする・・というお声があったので、まだまだプロジェクトの推進の必要性があるなと感じております。

    ポジティブなご意見

    • 身体が立っている時より疲れない。圧倒的に楽です。
    • 座って働くのではなく、お客さんがいらっしゃらない時によく使用している。椅子があって、苦労感が大分減少した。
    • シニアの方々は喜んでいる印象。気持ちにゆとりが出来る分、笑顔で接客は出来るかなとは思う。
    • 椅子に角度がついているからスッと立てる、座っていてもお客様を見渡せる。
    • 腰痛時には毎回レジを抜けてしまっていたが今では座りながらでも打てるので楽です。
    • 生理時で体がだるかったりしんどい時でも、座ることでそういったつらい痛みなども緩和されていると感じた。
    • お客様からリクエストが出るかと思いましたが全然なくてよかったです。
    • 足が痛くなくなり、座りながらも会計作業が進められるので、レジの雰囲気がよくなる。また、スタッフに関心を抱いているお店と良い印象を顧客に与えられている感じがする。

    今後の課題

    • 狭いレジ内では少し場所を取ってしまう。まだあまり認知されてないこともあり、お客様からどう思われているかが気になって、椅子に座りながら業務しづらい。
    • 口では言わないけど、なんで座ってるの?という感じで見られたことがあった。
    • 場所によって邪魔になる。二人体制になるとき等。

    学びと今後について

    プロジェクトの認知度にはまだ伸びしろがあり、導入も主に企業さまからの自発的なお問い合わせによって進んでいる状況です。

    引き続き働き手の方々が感じた課題の調査・改善を進めるほか、寄せられた世間の皆さまからの声を、雇用主側にフィードバックしていく仕組みも強化していきます。

    広告の力を活用してこの新しい価値観をさらに広めるとともに、企業さまへの直接的な導入提案にも力を入れていきたいと考えています。

    また、いい職場の定義は変わっていくと思いますが、ディスカッションの場はあるといいと思っています。今回の企画が従業員と企業双方がいい職場のために意見を交わせるきっかけになるといいなと思っています。

    さいごに

    何でもたたかれる世の中ですが、一歩ずつでもいい方向に進んでますよということで…

    まずはイスを置くというだけの一歩ですが、今後も就業時間がより良いものになるために、なにかしたいなとおもっています。

    もし本プロジェクトにご興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたら、ぜひ私たちマーケティング部門への応募、または企業間での共創にお声がけいただけると嬉しいです。
    一緒に、働きやすい社会をつくっていきましょう

    ※本記事は2025年05月時点の情報です。

    著者:マイナビマーケブログ編集部