2025/06/10

マーケティング

【25新卒研修向け資料】スライド・資料作成のコツ

この記事の目次

    2023年に新卒で入社して以降、実は毎年新卒研修でデザイン関連の講師をさせていただいております。

    毎年のニーズやトレンドに合わせて研修内容や回数は調整するものの、
    欠かさず恒例で実施させていただくのが「スライド・資料作成」についての研修です。

    23卒向けに小規模に開催して以降、「効果が著しい!」と研修運営の方々からご好評をいただき、今では毎年規模を大きくしながら実施させていただいている科目です。

    今回は本年度の実施内容をご共有します。

    ベテランビジネスパーソンの皆様からするとなんでもない話かもしれませんが、
    今一度資料をちゃんと作ることとは何か、見直すきっかけにお役立てください。

    ※新卒向けの内容につき、内容の浸透率を上げるため一部極端な表現がありますがご容赦ください。

    スライドって何?

    さっそくですが、スライドしっかり作ってますか??

    資料作りはルーティンワークと化し、時短や効率化の対象となる昨今、
    「そもそもスライドや資料はなぜ作るのか?」という根本的な部分は意識しないと薄れていくものなのかもしれません。

    スライドとはなんなのか?

    この問いを切り口に、改めて資料作りの目的を確認しましょう。 

    スライドを作成する目的

    資料を作成する目的は多岐に渡ると思いますが、大きく挙げられるのは下記のようなものではないでしょうか?

    ・ビジュアルの情報でわかりやすく
    ・ドキュメントとして残す
    ・発表者のペースメーカー

    といった、3つの側面で大きな役割を果たします。

    上記に加え、実は見落とされがちな役割について注目してみましょう。

    上記3つは、私が資料作成する上で密かに意識し、重要視している部分です。
    リアルタイムで発表が伴う場合に限りますが、留意するべきであると考えています。

    ・聴き手との情報量を合わせる

    「今何を話しているのか」
    「これから何を話しそうなのか」
    という情報は実は発表者しか認識していません。

    しかしながら、発表している側は無意識に「周知の事実」かのように進めてしまいます。
    この話の次はこの話だよね〜と潜在的に考えてしまっているわけです。
    練習やリハをすればするほどなおさら。

    そこでスライドの内容を効果的に表示することで、
    この部分の話!次はこの話が来る!と言うことが視聴者も知覚できます。

    これが、同じ時間の中で考えている情報量が揃うという状態であり、資料の役割として重要な要素です。


    ・「準備してきた」と言う姿勢を見せる

    当たり前と言えば当たり前ですが、話を聞いてくれる人は時間を割いてくれるお客さんな訳なので、
    提供する価値を見誤ってはいけません。

    スライドをしっかり綺麗に効果的に作成していることは、
    それだけその時間に対して準備をし、検討を重ねたことを最短で伝えることにつながります。


    ・時間と情報の質を上げる

    これも価値提供の話ですが、資料があることで

    ・その時間内で得られる情報に「視覚」が追加される
    ・後から見返すときに2回目のインプットにつながる

    というメリットを創出できます。

    資料が役割を持ち、効果的な準備がなされていることで時間あたりの情報量を増やすことにつながると考えられます。

    スライド作りはマナーである

    スライド、資料を綺麗に作ることはビジネススキルである!と認識している方は多いのではないでしょうか?
    私はその理解には賛同しかねます。

    これは私がデザイナーとして従事する上でも大事にしている考え方の一つでもありますが、

    という思想があります。

    ここまでの「資料作成の目的」の中で、視聴者への意識や時間単位の効率性などに言及してきました。
    そのような点を踏まえても、スライドを作ることはビジネスマナーなのです。

    もちろん、高度なデザイン技術を用いてより効果的な見せ方を検討することはスキルがなくては実現できませんが、見やすい効果的なスライドを作成する作業そのものはマナーであると認識しています。


    ◾️ スキルとマナーの違い

    ここで少し脱線しますが、スキルとマナーの違いについて注目します。

    本研修未受講時の歴代新卒が行った発表を見ていると、
    「スライドは作らずトークで魅せる!」
    「実物を持ってきて見せながら話すからスライドはいらない!」
    と言う判断をしている方がちらほら見受けられました。

    しかしながら、上記のような例は最低限のクオリティを担保した上で、プラスアルファとして加えるエッセンスのようなもので、スキルに該当します。

    上の図のように、ビジネスマンとして最低限のラインが存在したとき、

    スキルは、「できたらプラス、できなくても別に」
    マナーは、「できて普通、できなかったらマイナス」

    であると分類できます。

    つまり、マナーができてないのにスキルを魅せようとすな。
    というのが私が新卒に伝えている思想です。


    スライド作りにおいても、スキルではなくマナーとして資料を準備し、その上で何ができるのかを模索することが正しいプロセスであるとした上で、資料作りの重要性を強調したいと思います。

    どのように作るか?

    突然ですが、「センスがない」と諦めてしまっていませんか?

    本研修のように、スライドづくりについて話していると、度々、
    「Yさんはデザイナーだからすごいです!自分はそんなセンスないので!」
    とお褒めいただきます。
    前半部分は非常にありがたい限りなのですが、後半部分は違うと思っています。

    ここでもデザイナーとしての教訓を一つ共有するのですが、

    センスとは、生まれ持った才能のことではなく、上記のようなものだと思います。

    プロのデザイナーとしてご飯を食わせていただけるようになり、
    様々な人と関わらせていただく中で、より強く実感したのですが、
    本当にセンスのいい人はむしろめちゃくちゃ泥臭いコストをかけて、ロジカルな判断ができるようになった人なんだと思います。

    ここから導き出された着地点は、
    「センスがないという言葉で片付けてしまって、作れないと決めつけるのは良くないんじゃないか?」です。

    その考え方を持って私は、新卒に強く伝えます。
    綺麗で効果的な資料を作るためにどうすればいいのかをしっかり学んで作れるようになることが、マナーとして大事なことであると!

    スライドづくりは、
    最低限のビジネスマナーであり、
    最低限のセンスを鍛えるメソッド
    と言うことを念頭においた上で、実際にどのような点を意識すれば良いかについて言及します。

    誰でもできる具体的な意識と技術

    ここから本題。
    具体的な意識と技術ロジックです。

    正解がない分野であることと、膨大な技術が存在するので、誰でもできて簡単なものだけを独断でピックアップしています。
    まずはできるところからご参考にどうぞ。

    ### まず意識すること

    スライドを作らなきゃ!となったときにデザイン作りより先にまず着手することについてです。

    01 作成目的の把握

    なぜスライドや資料を作ることになったのか、を把握しましょう。

    ざっっっくりと3つに分けて考えるとわかりやすいかなと思います。

    自分が作る資料の本質的な目的と利用方法が、上記のどれに分類されるのか。
    これを理解することで、文字サイズ
    の検討に役立ったり、見せ方をこだわる方向性になります。


    02 ページごとの役割を理解

    資料の構成を考える上で、
    ・どのような流れにするのか
    ・何をまとめていくか
    を先に決めてしまいましょう。

    このように、1ページに一つずつ「テーマ」を決めてそれだけを並べます。
    重要なのは、そのページにはテーマ以外の内容は載せないことです。

    テーマ以外の補足がしたいなら、補足用のページをすぐ後ろに作ればいいだけなので、
    できる限り細分化したテーマ一つだけを1ページにまとめましょう。

    03 要素の選定

    実際にページに載せる要素を検討します。

    長々と文章をそのまま添付する方がいますが、あまり好ましくありません。残す資料であってもです。
    伝えたい内容と重要なポイントをしっかり分析して掲載する内容を厳選しつつまとめましょう。

    Q. 載せる要素を選ぶのに時間がかかりすぎます、、、

    A. そんな時は、話ている姿をイメージした時に、文章の中で、
    ・身振り手振りしたくなるポイント
    ・指を刺したくなるポイント
    ・強調したいポイント
    ・言葉にしても伝わらなさそうなポイント
    をピックアップしてそれだけを載せていくのが簡単です。

    この3つが準備できたら、実際に見た目を整えていきましょう。

    基本5大ロジック

    まず考えるべき基本の技術を5つに絞りました。
    もちろん「もっとあるでしょ?」と言われればもちろんですが、
    この5つを意識するだけでだいぶクオリティが上がります。

    この5つをわかりやすくするために弊部デザイナーが作成した1枚のスライドを例に挙げます。

    このスライドに、やってほしい5つのことが凝縮されています。

    一つずつ見ていきましょう。

    1つ1つは簡単な内容ですが、5つを揃った時の「これだ、、、」と言うエグゾディア感は凄まじいです。
    これだけでも念頭において実際に作成してみてください。

    ここまでの5大技術は、全クリエイティブに共通して応用できます。
    ぜひ実務でもご活用ください。

    スライド特有の+a

    ここからは、スライドならではの抑えておくべきポイントについて紹介します。

    ・デザインルールを作る

    最初に、全ページに共通して使用するデザインのルールを決めてしまうと便利です。
    パーツごとのテンプレートや文字や色のルールをまとめておくわけです。

    新しいページを作るときはそのルールにあるパーツで作成する、
    新しいパーツが必要になった時はデザインルールに足す。

    そうすることで、統一感を保ったまま、効率的に作成を進められます。

    デザインルール例

    ・ アニメーションは使わない

    これは私が学生時代にデザインの教授に言われたことですが、
    華美なアニメーションはビジネスの場に不相応ということです。

    画面が切り替わる時、写真が表示される時に、
    ブワアアアン、シューーン、ボヨヨンっ
    みたいなアニメーションを設定できますが、これは会社に短パンとサンダルで来るような感じなのでやめておきましょう。

    ・フォントはデフォルトのままにしない

    パワポやWindows PCでは特にですが、文字や図形などのデフォルトスタイルがイマイチです。

    できる限りより洗練された文字デザインにするために、フォントやサイズ、太さや文字間などを調整するとより良いです。
    「デフォルトのままだな」という雰囲気が出てしまうのと、手抜き感が拭えません。

    また、日本語のフォントと英数字フォントはしっかり専用のものを使用しましょう。

    ・パワポのデザインテンプレートは使わない

    忙しい時に作らなきゃいけないとなるとどうしてもテンプレートに走りがちですが、
    テンプレートは極端なレイアウトやデザインしか存在せず、調整しにくいです。

    テンプレートにビッタリとハマるような内容の資料もなかなかないでしょう。

    安易にテンプレートに手を出すと、時短してとりあえず作った感がすごいので、なるべく自分で作成することをおすすめします。

    ページを追加するときも、白紙のページにすることで、自由度の高いレイアウトが可能で結果的に便利です。

    ・アイテムやテキストボックスは分ける

    特に箇条書きなどをする際に、同一のテキストボックスの中で改行して並べていませんか?

    パワポは文章作成ツールではないので行間や文字間隔が調整できないですし、後々、ちょっとずらしたいなどのデザイン変更などが難しいです。

    おすすめは、一個ずつテキストボックスを分けることです。

    こうすることでコピペするだけで増殖可能ですし、細かい見た目の調整ができます。

    一見めんどくさそうですが、かえってこっちの方が思い通りにしやすく、簡単です。

    ▼例

    まとめ

    いかがだったでしょうか??

    めんどくさく、ややこしいと思われるかもしれませんが、

    資料作りは重要であること。
    いざ作る時に意識すること。

    が、無事伝わっていれば幸いです。


    今後新卒等がことあるごとに資料を作成してくると思いますが、本研修を受講したことを踏まえて、
    真面目に学びを積み重ねていることを評価してあげてください。

    おまけ

    スライドや資料作成の参考は、「slideland」が圧倒的におすすめです。
    他社が一般公開している優秀な資料を集約しているサービスなので、ぜひご活用ください。

    ※本記事は2025年06月時点の情報です。

    著者:マイナビマーケブログ編集部