【AIO対策】llms.txt実装:検討ポイントと効果測定の模索

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マイナビ医療・福祉向けの人材紹介サービス6サイトで5月上旬リリースしたAIの流入施策について共有します。
llms.txtの概要 〜AI時代のsitemap?〜
「llms.txtって何?」と言われたら、“AI時代のsitemap”のイメージです。
従来のsitemap.xmlがGoogleなどの検索エンジンに「うちのサイトに、こんなページあるよ!」と教える役割だったのに対し、llms.txtは生成AI(LLM)に「うちのサイト、こういう内容だよ!」と自己紹介するファイルです。
- ルート直下に設置
- 生成AIが理解しやすいマークダウン形式で、サイトや各ページの概要を記述
- 生成AIがクロールしやすいように設計
つまり、AIがサイトを正しく理解し、AIによる概要(AI Overview)や生成AIの回答で引用されやすくなるのが狙いです。
施策の意図・目的 〜AIO対策で流入アップを狙いたい〜
目的
- Google検索のAI概要(AI Overview)で引用されやすくし、表示頻度を増やしたい
- Geminiなど生成AIの回答で自社サービスが引用される機会を増やしたい
背景
2024年春のGoogleコアアップデート以降、「看護師 求人」「薬剤師 求人」「保育士 求人」などでAIによる概要が表示されるようになりました。
…が、マイナビのサービス名がなかなか出てこないためIndeedなど他社もllms.txt未対応なのに、なぜ?と悩みつつ、「まずは静的ファイルで低コストの部分だけやってみよう!」と導入を決意しました。

施策内容 〜llms.txtの実装方法〜
実施内容
- llms.txtファイルを各サイトのルート直下に設置
- 内容は生成AI向けにマークダウン形式で記述
- サイトの概要や主要コンテンツ、求人一覧などを網羅的に記載
対象サイト・ファイル
看護師:https://kango.mynavi.jp/llms.txt
薬剤師:https://pharma.mynavi.jp/llms.txt
コメディカル:https://co-medical.mynavi.jp/llms.txt
DOCTOR:https://doctor.mynavi.jp/llms.txt
介護職:https://kaigoshoku.mynavi.jp/llms.txt
保育士:https://hoiku.mynavi.jp/llms.txt
施策実施の検討ポイント 〜費用対効果と未知への挑戦〜
主な検討点
- 新機能のため、bot側の精度や評価軸が不透明
→ どこまで効果が出るか分からない点が最大の懸念でした。 - llms.txtだけで十分?llms-full.txtも必要?
→ 動的生成・維持にかかるコストと効果のバランスが不明なため、今回はllms-full.txtの導入は見送りました。 - どのコンテンツをピックアップするか
→ 強化したい求人一覧を都道府県レベルまで追加し、頻繁に変更が必要となる限定コンテンツは対象外としました。 - マークダウン記述方法
→ マークダウン記述については、エンジニアさんに添削いただき、地の文と引用の違いもご指摘いただきました。 - 効果測定方法の迷い
→ 当初は「薬剤師 求人」など特定KWのみ想定だったが、インパクト面で幅広く検証する方向に変更しました。
施策実施の流れ 〜多くの方のご知見とご協力のもとリリース完了〜
- サイト概要文を作成し、入力リストを作成
- AI Overviewや生成AIで引用させたいURLを各サイト担当者がピックアップ
- 各URLの概要文を生成AIで作成
- 生成AIにリストをマークダウン形式に変換してもらう
- メモ帳にコピペし「llms.txt」として保存
- エンジニアに共有し、記述方法の添削およびエラーの確認を実施
- ドメインのルート直下にファイルを設置し、検証・本番リリースを実施
▼ どのURLを記載するかスプレッドシートにピックアップ

▼ 生成AIに マークダウン形式に変換してもらい、エンジニアさんに添削いただいてルート直下に設置

効果測定を悩み中 〜 単純な流入だと、生成AIの普及拡大のみでよく見えてしまう?
現時点でも、AI Overviewでの自社表示機会の増加と、生成AI経由の流入増加という2点で、一定の成果が得られているように見えますが...
当初の目的である「求人」の掛け合わせで自社がでていないのと信憑性のある効果測定の検討が必要です。
▼AI Overviewの表示率対策として、該当キーワードのページの見出しにサービス名を入れると良いという意見もありました。

使用ツール
- ahrefs:AI Overviewの表示率を計測
- GA4:生成AI経由の流入数を計測
効果測定方法
AI Overviewの表示率
ahrefsでサイトの自然流入キーワード上位1万つの表示率を算出。
「Previous URL inside」に「AI overview」とあるキーワード数を分子、「SERP features」に「AI overview」とあるものを分母としました。
生成AIからの流入数
GA4で参照元/メディアが生成AIのセッション数をの推移を確認
※対象の生成AIは、ChatGTP・Perplexity・Gemini・Copilot・Felo・Claude
※AI Overviewの表示率のahrefsのデータにおいて、「AI Overview」対象外で「AI overview」の流入となるデータの不備があるため微調整しました。

※2025年6月19日追記
後日、ahrefs上のフィルタでも絞れる方法もご教示いただいたので追記します。
▼AIOが表示されているキーワード数
「オーガニックキーワード」のキャプチャの部分の項目を選定して、フィルタ
▼自サイトがAIOに表示されているキーワード数
「AIOが表示されているキーワード数」のデータをエクスポートし、
「Current URL inside」の列に「AI overview」の記載があるものの数をカウント

すべてのキーワードが落とせないプランの場合、こちらの方が正確な数値なので是非…!(薬剤師の表示率も大きく異なりました…)

リリース3週間での効果測定
llms.txt設置から約3週間が経過した現時点での主な効果は以下の通りです。
AI Overview表示率
- オウンドと別ドメインの薬剤師では、AI Overview表示率が約21%から50%まで上昇
- 計測のキーワードがオウンドメディア対象のものが多いのに気づき、検証方法の検討が必要
- データ抽出が当日のみの点や、ahrefsのプラン上限の関係もあり、定期的な測定が難しい印象
生成AI経由の流入数
- 6サイトすべてで、リリース前後比較で流入数が1.5~2倍以上に増加
- 薬剤師、コメディカルは約2倍、看護師サイトでは約1.7倍の増加を確認(単純に生成AIの使用率の増加によるものの可能性もあるので要検討)
- AI Overviewで新たに表示されるキーワードが増加したものの、当初目的であった「薬剤師 求人」「看護師 求人」では現状表示なし
まとめ
今回のllms.txtの実装で、AI時代のSEO対策を考えるきっかけとなりました。
現時点では効果測定や、費用対効果が不透明な面など課題も多いですが、生成AI経由の流入増加やAI Overviewでの表示率など、今でも無視できないビジネスインパクトがあると実感しています。
今後ますます重要になると考えられるため、より有効なAIO対策や、今回見送りとなったllms-full.txtの導入も含め、引き続き検証・改善を進めていく予定です。
※本記事は2025年07月時点の情報です。