2026/06/11

マーケティング

【UXリサーチ】ユーザビリティの改善はCVR向上に直結するのか

この記事の目次

    UXデザイン部のMです。
    UXリサーチを行う上で最近考えているのが「ユーザビリティの改善はCVR向上に直結するのか?」ということです。皆さんはどう思いますか?

    デザイナーとしてはサイトのユーザビリティ(使いやすさ)の改善を目的にリサーチを行っていますが、実際にサービス側から求められるのはCVR(コンバージョン率)を上げたいという数値的な結果をもたらすことです。

    もちろん私もユーザビリティの改善の先にCVR向上を見据えているため、最終的に目指しているところは同じなのですが、実際に得たユーザーの反応を元にユーザビリティ改善のためのデザイン提案を行なっても、サービス側にあまり刺さらない…実施まで至らない…思っていた反応が得られない…といったことがよくあります。

    ビジネス的な視点を考えたら当たり前だと思いますが、私がデザイナーとして重要視していた部分と求められているものが若干ズレている、もしくはうまく伝わっていないのではないかと気づきました。このすれ違いを解消しなければ、良くなるものも改善できないと思い、少し自分の中で整理をしてみることにします。

     使いやすさは「手段」、CVRは「結果」

    使いやすさは、ユーザーがサイト内で迷わず、ストレスなく目標を達成できるようにするためのサイトの属性(デザイン、導線、機能性など)です。

    CVRは、サイト訪問者のうち、実際に望ましい行動(購入、会員登録、資料請求など)に至った人の割合というビジネス上の成果指標です。

    使いやすくてもCVRが低いケース

    • サイトのデザインが非常に洗練されていて操作が簡単でも、提供される商品やサービス自体に魅力がなければ、ユーザーは購入に至りません。
    • 競合他社の商品と比較検討した結果、サイトは使いやすくても価格や条件面で劣っていれば、CVRは上がりません。
    • サイトへの流入経路やターゲット層が適切でない場合、いくら使いやすいサイトでもコンバージョンにはつながりません。

    使いにくくてもCVRが高いケース

    • サイトのデザインが古く操作性が悪くても、その商品が他では手に入らない独自の価値を持っていたり、圧倒的に安価であったりすれば、ユーザーは多少のストレスを我慢してでも購入します。

    高いCVRを達成するためには、使いやすさの向上は不可欠な要素の一つですが、それだけでは十分ではありません。 商品の魅力、価格競争力、マーケティング戦略といった他の多くの要素と組み合わさって、初めてビジネスの成果に結びつきます。

    しかし、デザイナーとして提案できるのはあくまでUI/UXの改善です。
    これらの状況に対して、デザイナーができるアプローチについて考えてみます。

     サービス理解と目線合わせ

    サービス理解と目線を合わせることは、UXリサーチの手順としてはマストなものですが、今一度注力すべき点だなと思いました。

    リサーチをご依頼いただいた各サービスは何を目指していて、何が課題なのか、何をしたいのか、このあたりをサービス側とすり合わせて明確にしておく必要があると感じました。また、長期的なビジョンだけでなく、"今"どのような情報を求めていて今回のリサーチで何をしたいのかがわかっていると、より求められる提案に反映できるのではないかと思いました。

    どうしてもリサーチの内容ばかりに意識が行ってしまいがちなため、サービス側と目線を合わせてゴールを見間違わないようにヒアリングはより大事にしていきたいです。

     目的に寄り添ったユーザビリティテストの設計

    目的を明確にしたら、目的に合わせたユーザビリティテストを設計する必要があります。
    実際にユーザビリティテストを設計する際に、どのようにしたら良いか自分なりに考えてみました。

    使いやすさを目的にしたユーザビリティテスト

    1. テストのゴール
      → 「操作がスムーズか」「迷わず目的を達成できるか」など、ユーザー体験の快適さを評価。
    2. 評価指標
      ・タスク完了率
      ・エラー発生率
      ・操作時間
      ・主観的満足度(SUSなど)
    3. シナリオ設計
      → サイト全体の操作性を確認するため、幅広いタスクを設定。
    4. 分析の視点
      → UIの分かりやすさ、ナビゲーションの直感性。
    5. 改善アクション
      → ボタン配置やラベルの改善など、操作性向上。

    使いやすさ目的のテストは、ユーザーが製品やサービスをスムーズに利用できるかを評価するために、幅広く具体的なタスクを設定し、観察や発話プロトコルを通じてユーザーの行動を分析します。定量的なデータ(タスク完了率やエラー数)を収集し、得られた情報をもとに改善点を特定し、継続的なテストを行うことで、ユーザー体験を向上させることが重要です。

    CVR向上を目的にしたユーザビリティテスト

    1. テストのゴール
      → 「購入・申込・登録などのコンバージョン行動が促進されるか」を評価。
      心理的ハードルの低減や意思決定の支援が焦点。
    2. 評価指標
      ・コンバージョン率(テスト環境での擬似CV)
      ・離脱ポイント分析
      ・CTAクリック率
      ・「迷い」や「不安」発言の頻度(定性)
    3. シナリオ設計
      → コンバージョンに直結するフロー(例:商品詳細→カート→決済)に集中。
      意思決定プロセスを再現する質問(例:「この情報で購入を決められますか?」)を組み込む。
    4. 分析の視点
      → 「説得力」「安心感」「価格・特典の提示タイミング」など、心理的要因を重視。
    5. 改善アクション
      → コピーの最適化、CTAの強調、レビューや保証情報の追加など、意思決定を後押しする要素。

    CVR目的のテストは「単に使いやすい」だけでなく、「ユーザーが行動を起こすかどうか」を測るため、心理的な障壁や説得要素の評価が重要になります。そのため、定性調査(発話プロトコル)+定量指標(クリック率・離脱率)を組み合わせる設計が効果的です。

    このように整理をしてみると、目的に応じてユーザビリティテストの設計方針は異なっていくことがわかりました。また、ユーザビリティテストの中で組み込むインタビューの比重を厚くするなど、必要なユーザーの反応を集めるために設計を工夫していくことができそうです。

     まとめ

    「ユーザビリティの改善はCVR向上に直結するのか」という議題については、CVRが低い要因がさまざまなため100%正しい結論は出せませんが、自論としてあくまでその傾向にあり、そう思っているからUXリサーチを行うのだと思いました。

    ユーザーに寄り添うのはもちろんですが、その前に各サービスに寄り添うことを忘れないようにしたいです。その上で、潜在的な課題発見だったり、納得していただけるような改善提案ができるとより有意義なリサーチになると思いました。

    また、デザイナーがリサーチをやる強みを理解することも大事かなと思いました。デザインの力を信じて、デザイン改善でどこまでCVR向上に繋げられるかという結果まで持っていくことができるよう、今後も精進していきたいと思います。

    ※本記事は2026年06月時点の情報です。